1990年12月、日本人として初めて宇宙を体験したTBSの秋山豊寛氏は、宇宙空間での眠りについて、地上との交信で次のように語っています。「非常によく眠れます。眠っているままのほうが気持ちいいって感じなのです。」
無重力の中で漂いながら眠る
ソユーズの環境は気温20度、湿度60%。眠るときは、「そのまま空中に漂いながら目をつぶっていればいいが、夜中にちょっと寒気がしたため、寝袋の中で、みの虫みたいに端っこだけ気体に縛り付け、漂わないようにしながら寝ました。」と語っています。
スペースシャトルでは操縦室の下のミッドデッキという居住スペースに設置された3,4段の簡易ベッドで宇宙飛行士たちは眠ります。そこに寝袋と枕が固定されていて、さらに体を固定できるベルトが付いています。気温は21~25℃、湿度は30~50%。気流がないので、常にファンを回して空気を攪拌しているため、その音は結構大きいそうです。
睡眠時間と体内リズム
宇宙での睡眠時間は約8時間。ソ連の場合はピューストン時間を宇宙生活の基準にしています。昼夜に関係なく、宇宙船に乗り込む前の現地時間に合わせ、そのときのリズムで睡眠をとっているのです。ちなみに宇宙飛行士は、宇宙に旅たつ1週間前から昼と夜を逆転させた生活をしているそうです。
私たちの日常は、人間関係や仕事上のトラブルなどさまざまなストレスにさらされています。
まず、ぐっすり眠るためには、リラックスすることが大事です。
アルファ波はリラックスしたときに大脳から出てくる脳波で、くつろいだ状態でいると、アルファ波が出現します。このアルファ波が出たら脳は眠りやすくなっているといえます。
脳波は大脳皮質の神経細胞から発生する交流電圧のことです。私たちが日常使用している交流電気と同じように周波数と振幅があります。脳波は周波数によっていくつかに分類されています。アルファ波はその一種で、8~13Hz、30μVくらいの電圧のものを指します。
アルファ波は脳細胞の活動が低下した時に現れます。例えば、目を閉じてリラックスし、何も考えないようにしていると、アルファ波が出てきます。しかし、目を開けるとすぐにアルファ波は消えます。目を閉じていても、暗算をさせてたりすると、脳が活動するので、アルファ波は消えます。計算が終わるとほっとして心が落ち着き、元のアルファ波が現れます。ちょっと体に触っても、アルファ波は消えてしまいます。
このようにアルファ波は脳細胞を休ませ、心身ともにリラックスしている状態のときに現れます。反対に緊張していると、ベータ波が出現します。睡眠が始まるとアルファ波もベータ波も消えてシータ波が出現します。
安らかな眠りにつくには、アルファ波が発生するような環境を作ることが大切です。
たとえば、気に入った入浴剤などを入れた風呂に、ゆっくりつかるのも良い方法です。入浴によって体内のエネルギー消費を抑える副交感神経が働くようになり、ゆったりとして神経状態になります。その結果、アルファ波が出やすくなるのです。
また、寝室にスローテンポのクラシック音楽などを流すのも効果的です。音量を下げ、耳元で静かに流れるようにしていると、いつしか眠りへと導かれているでしょう。
そのとき、脳波はアルファ波からシータ波へと変わっていることでしょう。
赤ちゃんの睡眠の特徴は、眠りと目覚めに一定のリズムがなく、レム睡眠が全睡眠時間の半分を占めていることです。生まれたばかりの赤ちゃんは1日の65から70%(16から17時間)にあたる時間を眠って過ごします。目覚めるのは、3~4時間おきにお腹が空いたときと排泄のときだけです。
これは赤ちゃんの脳や神経系統がまだ十分発達していないためで、外から刺激を受けても、反応が鈍く、目覚めることが少ないのです。しかし、眠っている間にも成長ホルモンの働きで、めざましい発育を遂げています。睡眠中には寝返りが100回以上にも及び、新陳代謝も活発なので、発汗量は大人の2~3倍あります。
1歳前後になると、脳の覚醒機能が発達するため、午前中と午後に昼寝はするものの、夜にまとまって眠るリズムができ上がってきます。成長とともにレム睡眠は減少し、睡眠のリズムが整う5~6歳ではレム睡眠は20%になり、大人とほぼ同じになります。幼児期にはまだ昼寝をしますが、学童期にあたる10歳ごろには、徐々に成人と同じ1日1回の睡眠に切り替わっていきます。
成人になると、さまざまな社会的な制約を受けて、夜の睡眠がいっそう短縮される傾向になりますが、眠りと目覚めのリズムは安定した状態が長い年月にわたって続きます。
しかし、定年を迎え、現役を退く60歳あたりから睡眠時間が短くなり、早寝早起きで眠りも浅くなります。夜中に何回も目覚めるようになり、なかなか熟睡感が得られません。
若い人の場合は、寝ついてまもなく深い眠りが訪れるのに対して、高齢者の場合は、約40分かかって、やっと第4段階の深い眠りに到達します。
また、高齢者は夜中に目覚める回数が多くなるのが原因で、睡眠不足になりがちです、昼寝などで不足を補っておくとよいでしょう。
高齢者の眠りは覚醒と睡眠の変化に乏しく、乳幼児の睡眠の形に似てくるのが特徴です。しかし、高齢者でもスポーツなどで体を動かしている人は、ぐっすりと眠れるという報告があります。適度な運動は熟睡をもたらします。
私たちは朝になると目覚め、夜になると眠るということを自然に繰り返しています。これは私たちの体には時計と同じように生活のリズムを刻む”体内時計”が備わっているからなのです。
体内時計が、一定のサイクルで眠りと目覚めを繰り返す周期的なリズムを「日周リズム」とか「サーカディアンリズム」といっています。
1日は地球の自転周期に基づいて24時間周期になっていますが、体内時計はそれより長く、およそ25時間周期になっています。
夜と昼の区別のない、完全に社会から隔離された環境で暮らしたら、25.2時間周期で眠りと目覚めを繰り返したという実験の報告があります。
体内リズムをつくっているのは、脳の中にある視床下部といわれている部分です。
視床下部前部に眠りを誘発する睡眠中枢があり、また、後部には目覚めをもたらす覚醒中枢があります。体内時計もこの部分が司っています。この2つの部分の働きで、眠ったり目覚めたりする1日のリズムができているのです。
私たちの体は太陽が出ている日中は体温も上がり、夜の睡眠中は下がるというリズムを規則正しく繰り返しています。このリズムをつくっているのが体内時計です。
このように、人も含めたほとんどの哺乳動物は、昼間目覚めて多量の熱を産生し、夜は眠って放熱量を減らすという生活を行っているのです。
毎日規則正しくサーカディアンリズムにしたがって生活をしていれば、体も順調に機能し、健康に暮らしていけるはずなのに、私たちはときどきそのリズムを乱します。
遅くまで夜更かしをすると、翌朝は眠くて起きられません。寝坊をすれば、その日の夜は寝つきが悪くなってしまいます。
あなたが夜寝れないで悩んでいるなら、まずは生活リズムの点検をして見ましょう。毎日朝はきちんと起きていますか。夜は決まった時間に寝床に入っているでしょうか。
ぐっすり眠ってさわやかに目覚めるには、自分の眠りと目覚めのリズムをいつも一定にすることが大切です。
私たちの体内にはさまざまなホルモンがあって、体や精神の活動を調整する働きをしています。睡眠中にもホルモンは分泌されていますが、その代表が成長ホルモンです。
成長ホルモンはノンレム睡眠の第3、第4段階で大量に分泌されます。脳下垂体や性腺、副腎皮質、甲状腺などから出て、細胞を活性化させ、子どもが成長するのを助けます。
「寝る子は育つ」ということわざはまんざら根拠がないわけではないのです。小さな子どもの夜更かし、寝不足は体調を悪くするばかりでなく、発育を妨げてしまう原因になってしまいます。ぜひとも十分な睡眠をとるように配慮してあげましょう。
子どもにとって、睡眠は心の安定にも関連します。睡眠不足の子どもは常にイライラしたり、情緒酢安定に陥りがちですが、長時間睡眠をとらせると驚くほど精神が安定するという報告もあります。
また、成長ホルモンは成長を促すだけでなく、日中に溜まった疲労を回復させ、磨り減った組織の修復をします。
成長ホルモンは、寝付いてから約90分間内に多量の分泌され、その後減少していきます。つまり、睡眠前半に熟睡すると疲れがとれるいうわけです。
そのほか、睡眠中には乳汁分泌を促すプロラクチンと性腺を刺激する黄体形成ホルモンも分泌されます。とくに思春期には、黄体生成ホルモンの分泌が眠っている間に増加するので、睡眠が以下に人間の生殖機能の発育にも深く関連しているか、うかがい知ることができます。
また、副腎皮質ホルモンの分泌も高まります。このホルモンは副腎皮質からステロイドホルモンが分泌されるのを促す役割をします。ステロイドホルモンはストレスに人がうまく対処していくために重要なホルモンです。
私たちは寝ている間に、これらのホルモンの助けを借りながら、翌日の活動の準備をしています。
就寝タイムである午後10時から午前2時は皮膚の細胞分裂が最も盛んな時間帯です。この間に古い角質が新しい肌に生まれ変わる新陳代謝が行われるのです。美しい素肌をいつまでも保つためには、夜更かしを避け、きちんとした睡眠リズムを守ることです。
昼間は体の変化に気がつきますが、睡眠中はどんな状態になっているのか分かりません。いったい、眠っている間に私たちの体はどのように変化しているのでしょう。
眠りにつくときには下がりますが、明け方になると徐々に上がってきます。
ノンレム睡眠では呼吸が減り、通常よりも穏やかな呼吸になりますが、レム睡眠になると、呼吸が多くなり、不規則な状態になります。ときには、呼吸が急に速くなったり、急に止まったりすることもあります。こうした呼吸調整機能の乱れは、乳幼児の突然死と関連があるともいわれています。
気管支喘息の発作もレム睡眠のときに起こりやすいと考えられています。
通常は1分間に70くらいですが、入眠すると徐々に下がっていき、60くらいの心拍数になります。レム睡眠になると不規則になりがちで、心拍数もノンレム睡眠と比べるとやや上がります。
寝ると段々下がっていき、その後次第に上昇して、明け方に成るとかなり高くなります。
体温を調整するための出る汗で、一晩で160ccも出るといわれています。就寝して、ノンレム睡眠に入ると同時に発汗量は増加します。暑い時期に、寝付くと間もなく汗をかくのはこれにあたり、いわゆる寝汗とは違いますから、心配はいりません。レム睡眠に入ると、汗は急に減少します。これを繰り返し、目覚めに向けて、次第に発汗量が減っていきます。
体はリラックス状態になりますから、筋肉は弛緩したままです。レム睡眠になると、とくに緊張がなくなり、筋肉の疲労が最も取れる状態になります。
眠っている間の体の生理的な変化として忘れてならないのが、寝返り(体動)です。私たちは横を向いたり、うつぶせになったり、大きく寝返りを打ったりして、一晩で約20~30回も体の位置を変えています。
これは1箇所に血液が集中しないようにする体の本能的な行為です。また、寝ていて、温まりすぎた場所に空気を送って冷やすために寝返りを打つともいわれています。
寝返りは極めて個人差が激しいものですが、寝返りがすくなった翌朝は爽快に目覚めることができます。
私たちの睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠を相互に繰り返しています。寝床に入ってすぐに訪れるのがノンレム睡眠は体も脳もグッスリと眠っている状態で、この眠りは次第に深くなっていきます。
深くノンレム睡眠になった後は、再び眠りは浅くなり、1回目のノンレム睡眠のだいたい90分後にレム睡眠が現れます。レム睡眠は一晩で約4~5回、10~45分間隔で起こります。
レム睡眠のときは体は弛緩していますが、脳にとっては浅い眠りの状態です。脳は深く眠ってはいませんが、体はリラックスしきっているので、起そうとしてもなかなか起きません。レム(REM)とはRapid Eye Movementの略で、目玉が素早く動くことが特徴です。また、呼吸が不規則になったりします。
こうしたことから、ノンレム睡眠は、「脳の眠り」といわれ、レム睡眠は「体の眠り」と考えられています。
このほか、レム睡眠中は、筋肉が緩む、手や顔などの小さな筋肉がピクピク動く、寝返りを打つなどの体の変化が現れる。
人によっては歯ぎしりや夜尿、寝言など異常な行動が現れるのもレム睡眠のときに多いのです。
レム睡眠の間は、自律神経系に乱れが生じます。自律神経とは、心拍や体温など、自分の意思では制御することができない体の働きのことです。
レム睡眠中に、呼吸、循環器系が乱れる現象を「自律系の嵐」とよんでいます。
なお、睡眠中は尿の量が減少します。
夢を良く見るのもこのレム睡眠のときです。レム睡眠は明け方ほど周期も長くなってきますから、夢も明け方に見ることが多いのです。
レム睡眠で目覚めると夢の中身は覚えていますが、覚めずに次の眠りに入ってしまうと、夢のことは跡形もなく、記憶から抹消されてしまいます。
ノンレム睡眠のときにも夢は見ますが、どちらかといえば夢というよりは思考に近いものであるのに対して、レム睡眠の夢は、はっきりした形とイメージを伴っているのが特徴です。
夢の長さはレム睡眠の長さと比例するので、年齢によりさまざまですが、青年では一晩で2時間近くは夢を見ていることになります。
私たちが眠っている間の状態を知るのに、最も多く使われているのは、脳波の記録です。脳波は、大脳皮質から生じる交流電圧ですが、脳の活動段階に応じて特有の波形があります。
睡眠はごく浅い眠りの第一段階から、深い眠りの第4段階まであります。
まず、眠りに入ると徐々に眠りが深くなり、第2、第3の眠りを経過し、第4段階で最も眠りが深くなった後は、次第に浅くなります。その次に、突如浅い眠りに近いレム睡眠が見れます。
その後、第2段階の浅い眠りに戻り、再び第3、第4段階のときはゆっきりとした周波数の脳波が見られるため、徐波睡眠といわれています。
こうしたサイクルを一晩で90分ずつ4~5回繰り返すうちに、深い眠りが現れなくなり、レム睡眠と浅い睡眠が続き、目覚めます。
すっきりと目覚めの良い睡眠とは第3や第4段階の深い眠りが多い睡眠を指します。逆に寝たりない気分が残るのは第1や第2段階、レム睡眠の多い眠りです。
同じように眠っているのに、ぐっすり寝れたり、不満が残ったりするのは、どの段階の眠りを多く得られるかにかかわっているのです。
現代社会では、私たちの睡眠時間は年々短縮される傾向にあります。生活が多様化して、夜型人間が増加し、最近では、深夜にスポーツを楽しむ人さえ珍しくない時代となりました。このような生活の変化に伴い、睡眠時間をどこまで短縮できるかが重視されるようになりました。
では、何時間寝れば十分なのでしょうか。
睡眠時間はその人のこれまでの生活習慣にも影響され、個人差がありますから、一概にどのくらいが適当とはいえません。
昔から8時間くらい眠るのが理想的であるといわれていますが、何時間眠ったからいいかと、悪いなどという問題ではありません。眠りは量よりもむしろ質が重要なのです。
良質の眠りとは、目覚めた時に満足感を得られる眠りのことです。反対に悪い眠りとはいくら寝てもスッキリしない眠りです。
自分は何時間くらい寝れば快適なのか、どのような状態で寝た時にぐっすり眠れたのか。理想的な睡眠時間とされる8時間という数字にとらわれないで、自分の眠りを見つめ直して、自分に適した質の良い眠りを得たいものです。
自分に適切な睡眠時間を知るには、何度か異なる時間帯に就寝してみて、一番目覚めのいい時間を調べ、それを繰り返しながら探っていく方法もあります。
自分の眠りに満足できない人は試してみてはいかがでしょう。
私たちの眠りを制御している法則をまとめると、2つあります。
第一の法則は、睡眠は、1日を単位とする主体のリズム現象の一環として生じるということです。このリズムは、脳の中に備わっている”体内時計”によって管理されています。
第二の法則は、前日の睡眠終了から今日の入眠まで、つまり断眠時間の長さが、睡眠の質と量を決定するということです。この法則に関連しているのが、前述の睡眠物質です。
将来は、生体リズムを人工光やホルモン、ビタミンなどで調整し、各種の睡眠物質を服用することによって、睡眠薬などを用いる人工の眠りではなく、眠りたい時刻に自由に、自然の現象として眠れるようになることも夢ではなくなるかもしれまえん。
人は人生の3分の1を睡眠に費やすと言われています。70歳まで生きたとして睡眠時間は約20万時間、それを惰眠するか、充実したときにするかは、眠りの質に大きくかかわってきます。
それにしても、私たちがこんなに膨大な時間を捧げている睡眠とは一体何なのでしょう。私たちはなぜ眠るのでしょう。眠くなるのでしょうか。私たち人間だけでなく、動物はなぜみな眠くなるのでしょうか。
睡眠とは、覚醒状態の周期的な一時停止、または中断として定義されています。高度な生理機能に裏付けされた適応行動であり、生体の防衛技術として考えられます。
脳の中の睡眠を司るシステムの働きからみると、脳には眠りを誘う抑制系と目覚めを促す覚醒系とがあって、この2つの機能のバランスにより睡眠状態が決まります。前者に関係しているのが、次項の睡眠物質です。後者には精神の緊張がかかわっています。
本質的な役割から考えると、睡眠は精神機能の回復のためにあるといえます。大脳の発達した動物になるほど、深い眠りの段階である「徐波睡眠」が、長い時間の割合で現れることがこの証拠です。もちろん、睡眠によって、肉体の疲労回復ができるのは日常体験している通りです。
長期間にわたって眠らないと、耐えられないほどの眠気に襲われることがあります。これは、ずっと起きていると脳の中に眠らせようとする圧力が生じるためともいえます。こうした睡眠圧を生じさせる神経メカニズムの要因に、体内での睡眠物質の生成と働きがあります。
睡眠物質の候補としてあげられているものは、数十種にも達しますが、とくに有名なものにデルタ睡眠誘発ペプチド、ムラミルペプチド、ウリジン、酸化型グルタチオンなどがあります。このうち、デルタ睡眠誘発ペプチドは、不眠症の治療にも利用されています。
睡眠物質は免疫とも関係があります。風邪をひいたとき、発熱とともに深い眠りが現れることはだれもが経験しているでしょう。これは、かぜのウイルスが体内で分解されて生じた物質が発熱を引き起こし、その一方で睡眠物質となって睡眠を誘発したり、さらに、ほかの睡眠物質の生成を刺激したりするからです。
こうした病気の時の眠気は、生体を防御する作用から生じているのです。
人間や動物を長時間連続的に眠らせないでおく実験を「断眠実験」といいます。昔から、数多くの断眠実験の例が知られています。しかし、脳波の記録がないものは信頼できません。本当に眠らなかったかどうかは、外見だけからでは判断が難しいからです。
日本での記録では、23歳の青年により101時間というのが報告されています。眠気は、断眠3日目ごろから強くなり、錯覚や幻覚が現れました。このような現象は、断民によってなんらかの精神障害が生じるからではなく、目覚めている状態から特別な眠りであるレム睡眠にいきなり入ってしまうために起こるものなのです。
つまり、眠気が強い状態のときは、現実の世界と夢の世界が交互に現れてしまい、錯覚や幻覚を起すのです。